日本財団 図書館


 

(8) 国際取引の問題

● 国際取引に関する国際的ルールの検討が必要なのではないか

<国際私法関係>

?@ 売買契約のような私法上の法律関係のうち、当事者の国籍、営業所の所在地、法律行為の行われた地、目的物の所在地、履行地、法定地等の当該法律関係を公正する諸要素が複数の国に点在している法律関係は、国際私法関係でありいずれの国の法律を適用するのか(準拠法)を決定する必要がある。

 

?A その決定方法としては、多数国間条約(1964年ヘーグで採択された「有体動産の国際売買の統一法に関する条約」及び「有体動産の国際売買契約の成立の統一法に関する条約」、1980年ウィーンで採択された「国際動産売買契約に関する国連条約」)による方法と日本国が国際私法に関する規定として制定した法律である「法例」の規定により準拠法が決定されることになる。

 

?B このように、国際動産売買に関するウィーン条約、あるいは国際私法統一国際協会(UNIDROIT)でつくられた「国際商事契約原則」という国際取引に適用される統一的な契約原則等々が、契約法規範の標準として発表されているが、国際取引契約はほとんどが約款で処理されている。

 

<法例における契約の成立及び効力>

?C 国際取引においては、契約当事者が合意により定めた国の法律(当事者自治の原則)が準拠法となる(法例7条1項)。また、契約の成立及び効力について当事者の意思が明らかでない場合には、補充的に「行為地」の国の法律が準拠法となる(法例7条2項)。ただし、当事者の合意が明示されていない場合であっても「契約の類型、内容、当事者の国籍、営業所在地、契約締結地、目的物所在地、履行地、国際裁判管轄の合意、契約書における使用言語等の諸条件を具体的事実に即して総合考慮し」当事者の黙示の意思を探求しなければならないとされているので、「行為地」の適用は、総合考慮しても判然としない場合に限られることになる。

 

?D また、行為地の決定については、「各当事者が異なる国に所在したままで、書簡、電話、電報、テレックス等の通信手段を利用して締結された」隔地的契約については、いずれの国に行為地があると判断するかが問題となる。すなわち、申込の通知を発した地を行為地とみなす(法例9条1項)とともに、申込を受けた者が承諾をした当該申込の発信地を知らなかったときは、申込者の住所を発信地とみなす(法例9条2項)こととしている。国際的な電子商取引については、申込・発信地をどのような考え方で確定するのかを検討する必要があるのではないか。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION